アトピー性皮膚炎とは
アトピーを治したいと本気で考える方に、全力で寄り添います
大城皮フ科クリニック 院長 大城 宏治
私自身も、幼少時から重度のアトピー患者でした。
30年以上前ですので、インターネットなどで情報を集めることもできず、近所の内科に定期的に通っていました。しかし、皮膚を診てもらうこともなく、何の指導もなく、軟膏を2本もらって帰宅するという繰り返しでした。塗ったところは一時的によくなるのですが、軟膏は数日でなくなり、その後はかゆみに耐え切れず、全身を掻きむしり、悪化の一途でした。ただ当時はそれが当たり前で、何の疑問も持っていませんでした。家族も途方に暮れており、当時猛威を振るっていた「脱ステロイド療法」に傾倒し、当然症状はさらに悪化していきました。ただ私のために頑張ってくれている家族の勧めを断ることもできず、悪化する皮膚を誰にも相談できないという学生生活を送りました。
行うべき治療もわからず、赤茶色にただれる皮膚で通学するのは、思春期の学生には本当に辛いことで、極端に悪化しているときには誰にも会いたくなくなったものです。
そんな「孤独な患者」だった自分が出会えていたら、と思える皮膚科医になるのが私の使命です。そして当院を選んでくださった方に、心から来てよかったと思っていただけることが、私の目標です。そのため私もスタッフも、日々の研鑽を怠らず、良くなっているところは一緒に喜び、悪化していればどうしてそうなったかを一緒に考えます。
アトピーは幼少時から理に叶ったスキンケアをすることで予防することができます。またアトピー発症後も、正しい方法でポイントを押さえた治療を行えば、大半の方は普通の方と変わらない生活を送ることができます。
孤独に症状に耐えている方は、ぜひ一度当院の門をたたいてみてください。
ご期待に沿えるように全力でサポートいたします。
アトピーについて動画でご紹介!
アトピー性皮膚炎の特徴
「皮膚の乾燥」と「アレルギー体質」によって幼少期~学童期に発症する慢性湿疹です。成人しても症状の改善が見られない場合がしばしば見られます(成人型アトピー性皮膚炎)。症状は、肘や膝の内側、首、わき、など、こすれやすい部位に出やすく、顔にも出やすいという特徴があります。
アトピー性皮膚炎では、湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返し(再発)、なかなか治らないこと(慢性)が特徴です。一般的に、6カ月以上(乳幼児では2カ月以上)続くと慢性と判断します。
- 赤みがあってかゆい
- ジュクジュクして引っかくと液体が出る
- 症状が長期にわたると、皮膚がごわごわ硬くなって盛り上がる
かゆみの悪循環
「乾燥しやすく皮膚のバリア機能が低下しやすい体質」+「アレルギーになりやすい体質」が影響しあって、赤みやかゆみ、湿疹などといった症状が起こります。
-
皮膚が元々乾燥しやすく、バリア機能が弱い
-
皮膚からアレルギーの原因物質
(ハウスダストやダニ、食べ物の破片など)が侵入する -
アレルギー反応が起こりかゆくなる
-
かいて皮膚に小さな傷がつく
-
そこからアレルギーの原因物質が侵入する
-
さらにかゆくなる
という悪循環を繰り返し、全身の湿疹に至ってしまいます。
皮膚の乾燥
皮膚は、表面の皮脂膜やその下の角質細胞、角質細胞間脂質などがバリアの役割を担っており、外からの物質の侵入を防いでいます。アトピー性皮膚炎ではベースに乾燥肌があるため、これらの「皮膚のバリア機能」が弱まり、外からの異物が容易に皮膚の中まで入りこみやすい状態になっています。
アレルギー体質
ご家族にアトピー性皮膚炎や喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどの疾患を持つ人がいる場合、体質を受け継いでアレルギーを起こしやすくなることがあります。また過去にこれらの病気を患ったことがある方も、アレルギーを起こしやすい体質と考えられます。こうした体質のことをアトピー素因と呼びます。アトピー素因がある方はアトピー性皮膚炎を発症する可能性が高まるので、より一層のスキンケアと治療が重要となります。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の保険治療薬には、外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)、保湿剤、注射の4種類があります。当院では日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018に準拠した治療を徹底して行います。
完治することが難しい疾患のため、正しい治療とスキンケアを継続することが最も重要になります。言いかえれば、継続する事で改善が期待できます。塗り薬は保湿剤で皮膚のバリア機能と保湿を行い、赤みやかゆみのある部位にはステロイドやタクロリムス軟膏を塗って炎症を改善していきます。抗アレルギー薬の内服も、継続して行えば改善を促すことができます。また、重症の方は免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服や、新しい生物学的製剤をご提案することもあります。
外用薬(塗り薬)
2種類あり、いずれも過剰な免疫反応を抑え、炎症によるかゆみなどの症状を抑えます。以前は非ステロイド性抗炎症外用剤も処方できましたが、炎症を抑えないだけでなく、接触皮膚炎(かぶれ)を起こすことから発売中止となりました。現在処方できる成分は実質2種類だけです。
ステロイド外用薬
炎症を抑える強さから5段階(強い順にストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム/マイルド、ウィーク)に分類され、症状が重いほど強いステロイド外用薬を使います。
ステロイド外用薬の注意点と副作用
- 注意点
-
体の部位によって吸収率が異なり、決められた量をしっかりと塗ることが大切です。「ステロイド外用薬は怖い」「副作用が心配」と、「少なく、短い間だけ使おう」という方もいますが、中途半端に使うとかえって症状を悪化させたり長引かせたりします。指示通りに、必要な量を必要な期間、必要な部位に使い続けることが大切です。使用の中止や薬の変更については、必ず指示に従ってください。
- 副作用
-
飲み薬のステロイドと違って、皮膚に塗るステロイド外用薬のほとんどは塗った場所だけに作用します。指示通りに使用して、副作用を出さないようにしましょう。
【副作用】長期使用による皮膚萎縮(皮膚が薄く弱くなること)や毛細血管拡張(血管が網の目状に見えること)
タクロリムス外用薬
ステロイドとは違う効果で、炎症(湿疹)を改善する塗り薬です。ステロイド外用薬で効果が不十分(湿疹が治らない、かゆみが残るなど)と感じる場合、またステロイド外用薬である程度炎症が落ち着いた場合などに使われます。また皮膚が薄い顔や首なども、ステロイドによる副作用を軽減するためにタクロリムス外用薬が適しています。
炎症を抑える強さは、ミディアム~ストロングクラスのステロイド外用薬と同程度とされます。使用して2週間程度は刺激やほてりを感じることがありますが、症状改善とともに徐々に消えていきます。
内服薬(飲み薬)
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬
皮膚をかくと皮膚が傷つき症状が悪化するため、かゆみ止めとして、またかゆみを出しにくくする予防的な意味からも、連続して内服することをおすすめします。かゆみを全て抑えることはできませんが、無意識にかくことを減らすことで、中長期的に症状を軽減することができます。
ステロイドの飲み薬
外用薬と抗アレルギー薬で抑えられないほど重症化した場合は、ステロイドの飲み薬を一時的に使うことがあります。効果は強いですが、使用する期間を必ず守る必要があります。自己判断で服用を中断したり、減量したりすると、副作用や症状の悪化を招くことがあります。
シクロスポリン(免疫抑制薬)の飲み薬
臓器移植などに使われていた免疫抑制薬で、2008年にアトピー性皮膚炎にも使用可能となりました。非常に高い効果がありますが、使用対象者はこれまでの治療で十分な効果が得られず、重症化している16歳以上の患者さまです。服用中は、血圧が上昇したり腎臓の機能が低下したりすることがあるので、定期的に採血するなど注意が必要です。
注射剤(デュピルマブ)
アトピー性皮膚炎の炎症を引き起こす原因と考えられているIL(インターロイキン)-4とIL-13の過剰な働きを抑えます。注射剤を投与できるのは、今までの治療で十分な効果が得られず、重症化している15歳以上の患者さまです。劇的な効果を期待できますが、1カ月の自己負担が数万円以上と高額です。現在は限られた医療機関のみで使用されています。現在新しい製剤が続々と開発されており、治療効果が期待されています。
保湿剤
アトピー性皮膚炎の方は普通の方より皮膚が乾燥しやすく、毎日の保湿はもちろん、「乾燥しづらい」日常生活に変えていくことが重要です。入浴後すぐ保湿剤でうるおいを保つことが大切です。水分やセラミドを補うもの、油分で皮膚を覆って水分の蒸発を防ぐものなど、いくつかのタイプがあります。剤形にもクリーム、ローション、軟膏などがあり、保湿効果や使用感が異なります。当院でおすすめのサンプルをお渡しし、塗り方の指導を全ての方に行います。
308エキシマシステムという紫外線治療も行っております
免疫機能を調整する働きのある紫外線を選択的に高出力にて照射し、難治性皮膚疾患の治療を行う装置です。従来の光線治療に比べて狭い範囲に高出力で治療に有効な光線を照射することが可能で、素早く効果をあげることができるのが特長です。
アトピー性皮膚炎のスキンケア
NOVソープ D
当院では、アトピー・乾燥肌の方には、「ボディーソープ」より肌への負担の少ない「固形石鹸」を使っていただくようご指導させていただいています。
固形石鹸の中でも必要最低限の成分で作られた「NOV ソープ D」。
お肌のうるおいは保ちながら、汚れはしっかり落としてくれる優れものです。
DRX ADパーフェクトバリア
さらっとした使用感であるにも関わらず、保湿力が非常に高いボディ用乳液。
アトピー性皮膚炎や乾燥肌の患者さまにおすすめの商品です。
ドゥーエ 入浴剤
肌のバリア機能の低下しているアトピー性皮膚炎、乾燥肌の方にとって「入浴剤」が刺激となり、肌のかゆみの原因になることもあります。
敏感肌用の入浴剤を使用して、入浴時の刺激を減らし、しっとりなめらかな肌を目指しましょう。
アンテリオス XL フリュイド(アウトドア用日焼け止め)
高い紫外線防御効果でありながら、白浮きせず仕上がります。濡れた肌にも密着し、軽い使い心地です。アウトドア用日焼け止めですが、石鹸で落ちるタイプなので、専用のクレンジングも不要です。
アトピー患者の一人として、患者さまの気持ちに寄り添います
当院の患者さまのなかには、アトピー性皮膚炎に悩み、いくつもの皮膚科を渡り歩いたり、民間療法を試したりして、症状が悪化して困り果てて受診される方が少なくありません。私自身、幼少期から重度のアトピーを患ってきたので、患者さまやご家族さまの気持ちは、よく理解できます。しかし、治療はそれほど難しいものではなく、適切な生活指導、適切な処置を行えば、ほとんど症状のない状態まで改善させることも可能です。とはいえ、治療に疲れ果て、諦めてしまっている方も、当院への来院をきっかけに前向きに治療に取り組めるよう、全力でサポートいたします。